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第24話 告白①

Penulis: 霞花怜
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-17 19:00:49

 講義を終えて研究室に戻る。

 鍵を捻ってドアを押す。開かない。

 怪訝に思いながら、もう一度、鍵を差して回したら、ドアが開いた。

(鍵、開いてたのかな? 晴翔君は……、いない)

 いつもなら笑顔で「おかえりなさい」と迎えてくれる晴翔の姿が、今日はなかった。

(締め忘れたのかな、珍しい。急ぎの用事かな)

 王子様スマイルの出迎えがなくて、ちょっとがっかりした気持ちで自分のデスクに戻る。

(晴翔君が助手で来てくれてから、まだ一週間も経ってないけど。もうずっといてくれてる気がする)

 一人では広めだった研究室がちょっと狭く感じて、隣に晴翔がいる環境が当然になっている。

 理玖一人では来客時くらいしか使わなかった二人掛けのソファも、晴翔が昼飯の時に使っているから有効活用だと思う。

(仮眠用のベッドも使用頻度が増えた。主に使ってるのは僕だけど)

 フェロモンに飲まれたり、佐藤に怯えて倒れたり。我ながら情けないと思う。

 佐藤満流のフェロモンに触れて、レイプされた時の光景が蘇った。悪酔いしたように血の気が下がった。

(晴翔君の手が温かくて、落ち着いた。あの時の晴翔君のフェロモンは、前と違った。気持ち良かったけど穏やかで、甘い香りがして、とても眠くなって……)

 あの時、眠りに落ちる前に晴翔が大事な言葉を言っていた気がするのに、ちゃんと聞き取れなかった。

(今でも聞いたら、教えてくれるかな。晴翔君、何て言ったんだろう)

 晴翔の手を握った自分の手をそっと握る。

 大好きな温かさを思い出して噛み締めた。

 パサリと紙が落ちる乾いた音がして、晴翔のデスクに目を向けた。

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